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Fグループ電子工作講座

秋月電子SH7125ボードで始めるマイコン開発

バッテリーからのマイコン用電源確保

今まで100Vを5Vへ変換するアダプターを使用して開発してきました。
しかし、ロボットを作成する場合はこのアダプターを使用できるとは限りません。
特に移動式のロボットを作成する場合、電源は各種バッテリーを使用することになります。

なぜ電源回路が必要なのか

移動ロボットに乾電池を使用する場合を考えてみます。
乾電池は標準で1本1.5Vが出力されます。1.5Vはマイコンを動かすのに十分な電圧ではありません。電池を直列に接続すれば電圧は上がります。しかし3本4.5Vでは電圧が低く、4本6Vでは電圧が高すぎます。

電池4本で6Vの電源を作成して抵抗で分圧すれば5Vを生成することはできます。
しかし、電池は使用するにつれて電圧が低下していきます。
可変抵抗などを使用して電池の電圧に合わせて5Vちょうどになるように調整することは可能ではありますが、あまり現実的ではありません。
また、分圧抵抗を使って電源電圧を確保した場合、消費電流によって電圧が大きく変動してしまいます。

この問題を解決するために電源回路が登場します。

電源回路とは

ここでは「元となる入力電源電圧に関係なく、望みの出力電圧を生成でき消費電流によっても電圧がほとんど変わらない電圧変換回路」を電源回路と呼ぶことにします。

身近な電源としては乾電池の直流1.5Vからコンセントの交流100Vまで色々あります。また、送電の世界では交流6000Vなんてものもあります。これらの間で様々な電圧変換回路が使用されています。

直流交流電圧変換回路は以下の様な呼び方をされます。
交流→直流:整流回路、DC電源
直流→直流:レギュレータ、DC-DCコンバータ、デコデコ(カー用品)
直流→交流:DC-ACインバータ(単にインバータと呼ぶことも)
交流→交流:トランス(こちらもインバータ)
これらは一例でそれぞれ様々な呼び方をされます。
また、高い電圧から低い電圧を生成するだけでなく、低い電圧から高い電圧を生成するものもあります。これらはそれぞれ異なった回路構成となります。

ここでは小型ロボットおよびマイコン周辺で使用する回路に限定して紹介します。
また、入力出力共に直流とし、入力電圧に対して出力電圧が小さい降圧回路に限定しておきます。

マイコンで使用する電源回路

マイコンで使用するシリーズレギュレータスイッチングレギュレータの2種類を紹介します。
どちらも高い電圧の直流電源低い電圧の直流電源に変換する回路です。


イメージとしては

シリーズレギュレータ:

・少ない部品構成で作成するマイコン・センサー用電源
・部品点数が少なく、レギュレータIC自体も小さく安いのが特徴
俗に言う3端子レギュレータはこちら。
沢山電流を流したり、高い電圧から低い電圧を作ろうと思うと変換効率が悪くなりかなり発熱します。

スイッチングレギュレータ:

・幾つかの部品を組み合わせて作成する大電流電源
・部品点数が多く高額になりがちなものの、自動調整式のPWMで高効率で大電流を生成できる
PWM出力後の波形はコンデンサで平滑化されます。マイコンで使う分には問題ありませんが、OPアンプの電源として使用すると平滑化しきれない数mVの電圧変動の影響で回路が正常に動作しないことがあります。

どちらもメリット・デメリットがあり使い分ける必要があります。
基本的には
・マイコンなどの小電力回路用電源シリーズレギュレータ
・モーターなど大電力が必要な電源スイッチングレギュレータ
となります。
モーターの電源を3端子レギュレータ(シリーズレギュレータ)で作成すると定格の範囲でも火傷するぐらい発熱します。

3端子レギュレータを使ってみる

5V500mA出力の3端子レギュレータTA48M05Fを使ってみます。

部品
・低損失3端子レギュレータ TA48M05Fのセット(セラコン0.1μF、電解コンデンサ47μF付)
・6Vぐらいの電源
その他
・ブレッドボード一式
・テスター


真ん中の3本足のが3端子レギュレータです。
印字面が表で金属板(放熱板)がくっついている方が裏です。
水色のがセラコン、黒くて小さい牛乳瓶みたいなのが電解コンデンサ。
セラコンは付属の物だったか覚えてませんが、表記104が付いてきます。
電解コンデンサの脚はブレッドボードに挿すときに邪魔なので切って揃えてあります。
電解コンデンサには極性があります。黒いパッケージに白いラインが入っている側がマイナスです。

ピン配置の確認
データシートを見ます。
1(左):入力
3(中):GND
2(右):出力
※順番に注意

入力とGNDの間に0.1μFのコンデンサを挿入し
出力とGNDの間に33μF以上のコンデンサを挿入します。
コンデンサはセットでついてきたものをそのまま使用すればOKです。

配線
レギュレータ本体とコンデンサ2つを挿入するだけなので簡単です。

レギュレータと電解コンデンサの向きに注意してください。

入力電源を接続します。
 
左から生えてる電源端子は今回関係ありません。

プラスとマイナスが正しく接続していることを確認したらスイッチON

入力電圧6V以上に対して
 
出力電圧が5Vになっていれば成功です。


配線を確認してからマイコンに電源を供給します。

これでマイコンを電池駆動できるようになりました。
※モーター駆動用電源としては使わないでください。かなり発熱します。

スイッチングレギュレータを使ってみる

部品
電源ICと目的に合わせて選定した周辺部品を色々用意して・・・
のはずですが、時代は進み部品一式がパッケージ化された物が製品化されました。
秋月電子ではスーパー3端子レギュレータの名前で販売されています。
3端子DC/DCレギュレータ BP5293-50 入力電圧7~26V(240円)
スーパー3端子レギュレータ V7805-1000 入力電圧6.5~32V(800円)

今回はBP5293-50の使い方を確認します。

TA48M05Fと比較。

図体はTA48M05Fよりかなり大きくなります。

配線は・・・

1番に入力電源+、2番にGNDを繋ぐだけです。
コンデンサすら要りません。

7.2V Ni-Cdバッテリーをつないでみます。

正常に5Vが生成されている事がわかります。

もう一個のスーパー3端子レギュレータV7805-1000
データシートによると
入力側に10μFのセラミックコンデンサ、
出力側に22μFのセラミックコンデンサ
を付けるようです。
図を見ると極性が書いてありますが、セラミックコンデンサには通常極性は無いはずです。謎。
・入力側に10μFの積層セラミックコンデンサ
・出力側に47μFの電解コンデンサ
をつけておけばたぶん大丈夫でしょう。
入力側0.1μFでもとりあえず動いてはいました。

さらにガッツリ電力が必要な時はDC-DCコンバータHRD05003辺りを使います。
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コメント

1. 無題

>図を見ると極性が書いてありますが、セラミックコンデンサには通常極性は無いはずです。謎。

データシートにはタンタルもしくは低ESRの電解コンデンサと書いてありますね。

2. 10μF50Vのセラコン高い

表だとセラミックコンデンサ、注記だとタンタルもしくは低ESRの電解コンデンサ推奨っぽい表記なので、極性ありコンデンサ使う時用の記述って事みたいですね。
10μF耐圧50Vの積層セラミックコンデンサだと結構値が張るので、ホビー用途だと両方電解コンデンサを付けとくぐらいで良いのかもしれません。

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ぼんどF博士
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