電源回路とは
ここでは「元となる入力電源電圧に関係なく、
望みの出力電圧を生成でき消費電流によっても電圧がほとんど変わらない
電圧変換回路」を電源回路と呼ぶことにします。
身近な電源としては
乾電池の直流1.5Vから
コンセントの交流100Vまで色々あります。また、送電の世界では交流6000Vなんてものもあります。これらの間で様々な電圧変換回路が使用されています。
直流と
交流の
電圧変換回路は以下の様な呼び方をされます。
交流→直流:整流回路、DC電源
直流→直流:レギュレータ、DC-DCコンバータ、デコデコ(カー用品)
直流→交流:DC-ACインバータ(単にインバータと呼ぶことも)
交流→交流:トランス(こちらもインバータ)
これらは一例でそれぞれ様々な呼び方をされます。
また、高い電圧から低い電圧を生成するだけでなく、低い電圧から高い電圧を生成するものもあります。これらはそれぞれ異なった回路構成となります。
ここでは
小型ロボットおよび
マイコン周辺で使用する回路に限定して紹介します。
また、
入力出力共に直流とし、入力電圧に対して出力電圧が小さい
降圧回路に限定しておきます。
マイコンで使用する電源回路
マイコンで使用する
シリーズレギュレータと
スイッチングレギュレータの2種類を紹介します。
どちらも
高い電圧の直流電源を
低い電圧の直流電源に変換する回路です。
イメージとしては
シリーズレギュレータ:
・少ない部品構成で作成するマイコン・センサー用電源
・部品点数が少なく、レギュレータIC自体も小さく安いのが特徴
俗に言う
3端子レギュレータはこちら。
沢山電流を流したり、高い電圧から低い電圧を作ろうと思うと変換効率が悪くなりかなり発熱します。
スイッチングレギュレータ:
・幾つかの部品を組み合わせて作成する大電流電源
・部品点数が多く高額になりがちなものの、自動調整式のPWMで高効率で大電流を生成できる
PWM出力後の波形はコンデンサで平滑化されます。マイコンで使う分には問題ありませんが、OPアンプの電源として使用すると平滑化しきれない数mVの電圧変動の影響で回路が正常に動作しないことがあります。
どちらもメリット・デメリットがあり使い分ける必要があります。
基本的には
・マイコンなどの
小電力回路用電源⇒
シリーズレギュレータ・モーターなど
大電力が必要な電源⇒
スイッチングレギュレータとなります。
モーターの電源を3端子レギュレータ(シリーズレギュレータ)で作成すると定格の範囲でも
火傷するぐらい発熱します。
3端子レギュレータを使ってみる
5V500mA出力の3端子レギュレータ
TA48M05Fを使ってみます。
部品・低損失3端子レギュレータ
TA48M05Fのセット(セラコン0.1μF、電解コンデンサ47μF付)
・6Vぐらいの電源
その他・ブレッドボード一式
・テスター
真ん中の3本足のが3端子レギュレータです。
印字面が表で金属板(放熱板)がくっついている方が裏です。
水色のがセラコン、黒くて小さい牛乳瓶みたいなのが電解コンデンサ。
セラコンは付属の物だったか覚えてませんが、表記104が付いてきます。
電解コンデンサの脚はブレッドボードに挿すときに邪魔なので切って揃えてあります。
電解コンデンサには極性があります。黒いパッケージに白いラインが入っている側がマイナスです。
ピン配置の確認データシートを見ます。
1(左):入力
3(中):GND
2(右):出力
※順番に注意
入力とGNDの間に
0.1μFのコンデンサを挿入し
出力とGNDの間に
33μF以上のコンデンサを挿入します。
コンデンサはセットでついてきたものをそのまま使用すればOKです。
配線レギュレータ本体とコンデンサ2つを挿入するだけなので簡単です。
レギュレータと電解コンデンサの向きに注意してください。
入力電源を接続します。
左から生えてる電源端子は今回関係ありません。
プラスとマイナスが正しく接続していることを確認したらスイッチON
入力電圧6V以上に対して
出力電圧が5Vになっていれば成功です。
配線を確認してからマイコンに電源を供給します。
これでマイコンを電池駆動できるようになりました。
※モーター駆動用電源としては使わないでください。かなり発熱します。
スイッチングレギュレータを使ってみる
部品電源ICと目的に合わせて選定した周辺部品を色々用意して・・・
のはずですが、時代は進み
部品一式がパッケージ化された物が製品化されました。
秋月電子では
スーパー3端子レギュレータの名前で販売されています。
3端子DC/DCレギュレータ
BP5293-50 入力電圧7~26V(240円)
スーパー3端子レギュレータ
V7805-1000 入力電圧6.5~32V(800円)
今回は
BP5293-50の使い方を確認します。
TA48M05Fと比較。
図体はTA48M05Fよりかなり大きくなります。
配線は・・・
1番に入力電源+、2番にGNDを繋ぐだけです。
コンデンサすら要りません。
7.2V Ni-Cdバッテリーをつないでみます。
正常に5Vが生成されている事がわかります。
もう一個のスーパー3端子レギュレータ
V7805-1000データシートによると
入力側に10μFのセラミックコンデンサ、
出力側に22μFのセラミックコンデンサ
を付けるようです。
図を見ると極性が書いてありますが、セラミックコンデンサには通常極性は無いはずです。謎。
・入力側に10μFの積層セラミックコンデンサ
・出力側に47μFの電解コンデンサ
をつけておけばたぶん大丈夫でしょう。
入力側0.1μFでもとりあえず動いてはいました。
さらにガッツリ電力が必要な時はDC-DCコンバータ
HRD05003辺りを使います。
1. 無題
データシートにはタンタルもしくは低ESRの電解コンデンサと書いてありますね。