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工学を学ぶ上で必要となる知識三角関数の基礎が理解できたところでマイコンで三角関数を扱っていきたいのですが、
三角関数を扱う前にもう一つ理解しておかないといけない事があります。
そう
ラジアン:Radian [rad]
です。
角度の単位であることは多分分かっているとおもいます。
問題はなぜわかりやすい度ではなく中途半端な数値のラジアンを使うのか。
コンピュータで三角関数を扱う場合、三角関数へ入力する角度値は多くの場合
ラジアン単位を使います。
概念
度数方(Degree)の概念
角度を表すために1周を360分割する考え方です。
分割数が360なのは、多分色んな数字で割り切れるからだとおもいます。
長さや重さと違い、Degreeは色々な国で共通の単位です。
弧度法(Radian)の概念
半径と同じだけの距離を円弧上移動したときの角度を1ラジアンと定義したものです。
60°っぽいですが、60°ではありません。
1[rad]=57.296[deg]
です。
45[deg]=
0.7854[rad]
と変換できるのですが、このままでは何のことだか分かりません。
ラジアンについてもう少し考えてみます。
ラジアンを並べてみます。
半周するのに3ラジアンでは少し足りません。
4ラジアンでは多すぎます。
半周するためにはあと0.1ラジアンぐらい足りません。
もう少し正確には0.14ラジアンぐらい足りません。
もっと正確には0.141593ラジアンぐらい足りません。
きりがないのでこれぐらいにして、半周するには3+0.141593ラジアン必要です。
3.141593ラジアンです。これを表すのにちょうど言いものがあります。
そう、
円周率πです。
角度を単位換算すると
180[deg]=π[rad]
となります。
0.7854ラジアンを
円周率π(パイ、Pai、PI)を使って表すと
0.7854=0.25π=1/4
πとなり、これで理解できそうな値になりました。
π[rad]=180[deg]なので、
1/4π[rad]=180/4[deg]=45[deg]
と換算することができます。
ということで、
ラジアン単位にて角度を扱う場合は多くの場合
円周率πがセットで出てきます。
ラジアンの使い道
実のところ
三角関数を使って角度に対してr,x,yの割合を求める事だけを考えると、ラジアンを使うメリットはありません。
角度を線形近似(計算の簡略化・高速化)する際に利用されますが、ラジアンであることの意味合いはそこまで強くありません。
ラジアンが本領を発揮するのは
微分が絡んできたときです。
三角関数に微分が絡むと「
度」では全く話が通用しなくなり、「
ラジアン」がメインとなります。
本当の意味でのラジアンの使い道は三角関数の微分を解説する際に説明します。
では、なぜ今ラジアンの話をしているのかというと、
コンピューターで三角関数を扱う場合に
三角関数へ入力する角度値が
ラジアン単位だからです。
C言語はもちろんエクセルでも三角関数はラジアン単位です。
例外的にゲームエンジンのUnityは度単位ですが、プログラムはC#で記述し演算にはMathfを使うので結局はラジアン単位で扱います。
コンピュータで三角関数を扱う場合に何故ラジアンなのかは色々な理由があると思いますが、高い精度の計算結果を求めるために級数展開(多項式近似)を行っているのが一つの大きな理由だと思います。
では、三角関数を扱うために微分や級数展開を学ぶ必要があるかと言えば当然そんな事はありません。三角関数を深く知るためには微分、内部処理を理解するためには級数展開を理解する必要がありますが、初めて三角関数を扱う際には
度を
ラジアンに変換さえれきればそれで構いません。
とりあえずコンピュータで三角関数へ角度を入力する際はラジアン単位にする必要があるので
角度[rad]=
角度[deg]/180*
PIと換算してから入力してください。
今回はここまで