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Fグループ電子工作講座

秋月電子SH7125ボードで始めるマイコン開発

つくばチャレンジ初参加に向けて③確認走行区間

確認走行達成に向けた内容など
センサー関連情報
関連:つくばチャレンジ関連記事一覧

つくばチャレンジの走行エリアは
・待機調整エリア
・確認走行区間
・市街地区間(正式名称未確認)
に分かれています。

先の安全チェックをクリアしたロボットは
・確認走行区間の手動による動力走行
・確認走行区間の自律による動力走行
・市街地区間の手動による動力走行
が可能になります。
・市街地区間の自律による動力走行
を行うには確認走行区間を自律走行する認定に合格する必要があり、まずは
確認走行達成を目指すことになります。

確認走行では
・つくば市役所庁舎南のスタート地点から外周を決められた経路に沿って自動走行
・駐車場ゲート前横断歩道で一時停止 → 手動入力で走行再開
・認定員がロボット前方に障害物を設置し、これに接触しない(停止または回避)
・非常停止スイッチを押して停止
を行います。

確認走行区間 難所


確認走行中は
・非常停止スイッチを押す
・有線無線を問わず手動操作する
・一時停止の再開以外でロボットへ触れる
・ロボットが人や駐車車両に衝突する
とリタイアとなります。
また、
・他のロボットや車止めなどコース上の障害物に衝突する
・指定した経路から大きく逸れる
などでもリタイアとなることがあります。

そこで、
・指定された経路に沿って走行する
・障害物を検知して止まる/避ける
を実現するためのセンサーが必要になります。

ロボット作成に必要な費用のうち半分以上はセンサーと演算装置になると思います。


センサ選定概要

自律走行するために
・自己位置推定(ロボットが何処にいるか把握)するためのセンサー
・障害物を検知するセンサー
を選定することになります。

床に凹凸の無い屋内ではエンコーダーだけでもそれなりに自己位置推定ができます。
しかし、屋外の長距離走行ではタイヤのスリップが発生するためエンコーダ情報だけ
では決められた経路を正確に走行することはできません。
つくばチャレンジでは自己位置推定・障害物検知共にLiDAR(レーザー距離計)の
採用例が多く、3Dおよび2DのLiDARが使用されています。
その他
・画像処理
・エンコーダ+ジャイロ
・GNSS(GPS)
・超音波距離センサー
等が使用されています。

屋外走行なので太陽光、雨がかなり影響します。
走行毎に実験条件がばらつくので複数のセンサー情報から状態判断を行う必要
があります。

LiDAR

LiDARで取得した大量の点群データを処理するためにLiDAR本体のほかに
演算ユニットが必要になります。
LiDAR等赤外線レーザーを使用する機器は屋内向けと屋外対応品があります。
屋内向けだと太陽光の赤外線に負けて測定できないことが多々あります。
また、測定対象物の色や角度によって測定可能な範囲が変わります。対象物の
光沢で測定可能距離が大きく変わるので対象物が雨で濡れた場合も注意が必要です。
確認走行では問題になりませんが、過去の状況を見るとLiDARを使ってMAP生成と
自己位置認識を行う場合
・駐車車両を地図に含むと駐車車両の移動で基準がずれる
・本番はスタート地点に人だかりができるので練習と全く状態が異なる
・信号付近は常に周りに人や停車中の車が居て固定物の測定が難しい
・公園に入ったあとは開けており数十m先まで測定可能な物が無い
・定期的に植栽の剪定や芝刈りが行われて測定対象の形状が変わる
といった事が原因で自己位置認識を失敗する事がある様です。

関連単語
・Velodyne VLP-16
・Livox Mid360
・北陽電機
・SLAMTEC

画像処理

カメラと画像処理ユニットが必要です。
画像処理を行う場合も太陽光がかなり影響します。
公園内の芝生と通路の判定を画像処理で行おうと思っていたのですが、日差しが
強いとロボットや安全管理責任者を含む通行人の影が地面にくっきりと映るので
判定処理に影響しそうです。市役所北と市役所東の通路は常に日陰になっており
画像処理の条件としては都合が良さそうです。

GNSS(RTK / CLAS)

開けた場所はRTKやCLASにより数センチ単位でロボットの位置を測定できます。
ただし、市役所北と市役所東の通路と高架下では測位がかなり狂います。
RTKやCLASを屋根のある場所で使った場合に間違ったFloat解が出て、正常に測位
できているのか判別できなくなるのでGNSSを利用する場合はGNSSを利用しない
エリアを設定できるようにする必要がありそうです。
RTKやCLASを使う場合はアンテナと受信機が分かれていることが多いです。
またRTKは他の場所で受信した衛星情報を使うために何かしらの無線通信が必要です。

関連単語
・ublox F9P
・septentrio mosaic
・ジオセンス D9CX1


カタログスペック通りに動かないことも多いのでセンサーを入手したらロボットに
搭載する前に単体で屋外試験を行うことを推奨します。

確認走行区間で遭遇した現象

GNSSメイン+2D LiDARによる障害物回避 の組み合わせで遭遇した現象など

市役所周辺でのGNSS測位(ソフト)

手動操縦中に測位した場合自律走行中に測位した場合とで測位結果に大きな差が出ました。
手動操縦中は迷いなく経路を進むので精度が低下する時間が短いのに対して、自律走行では
障害物を自動検知による減速が発生するため精度が低下する区間の滞在時間が長く更に精度
低下が大きくなりやすい様です。
校内で実験する際は渡り廊下を暫く進む様な経路を設定すると再現できるかもしれません。

LiDARでの植栽検出(ソフト)

屋内実験だと塊の障害物が多く安定して検出できるのですが、屋外走行で植栽の側を通ると
枝葉の凹凸に反応してカクカク動きました。また、障害物が近くにある場合は安全のため
自動減速・停止させたのですが、安価な2D LiDARだと植栽の間から延びる雑草が近接する
まで検出できず、検出した時点では停止範囲に入っており停止してしまいました。

追い越し不可の細い通路に草が飛び出ており意外と厄介です。
なお、環境を変える行為は禁止なので、雑草であっても切ってはいけません。

走行経路上に駐車車両(ソフト)

市役所北西の入り口は業者などの搬入口として使用されており、車両が駐車してあることが
あります。確認走行中に駐車車両があり対応できずに中断したことがあるほか、実験日以外
の平日に市役所周辺を歩いていた際にも郵便局の車両が駐車してあったこともあります。
はじめのうちは車両が無いことを祈ることになるかもしれませんが、常連チームはこういった
状況にも対応できるように対策している様です。

振動でmicroUSBコネクタが破損(ハード)

microUSBコネクタは以前から接触不良が多く使いたくなかったのですが、今回選定した
LiDARおよびGNSSに標準搭載されたコネクタがmicroUSBだったので仕方なく使用して
いました。結局振動等でコネクタ部断線が発生するようになったので、LiDAR GNSS共に
TypeCコネクタを使えるように改造してます。

秋月電子のUSBシリアル変換器は過電流防止にリセッタブルヒューズが入っており、
電流制限にかかって機器が動かないことがあります。ここも要改造。

太陽光がLiDARに干渉(ハード/ソフト)

夏の炎天下で動いていたLiDARが秋になってからノイズが発生するようになりました。
秋になって日が低くなったことで駐車車両の窓等に反射した日光がLiDARに照射される
様になったことが主な原因です。LiDARの比較検証については後日報告予定です。
ノイズ対策としてソフト側で対応することもあります。

各種ノイズがGNSSに干渉(ハード)

アンテナの近くに電源配線があるとGNSS測位に干渉することが確認されました。

アンテナと配線の間にシールドを追加すると干渉を防ぐことができます。
他チームの報告によればLiDAR(多分モーターノイズ)、カメラ(電力?)、WiFiなども
GNSS測位に影響を与えることがある様です。
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